innate8の日記

大海を泳ぐ

その地名、真に奇なり

「現実は小説より奇なり」なんて言葉があるけど、本当に言い得て妙だな、とつくづく思う。

 日本中には、ちょっとやそっとじゃ読めない地名がたくさんある。地名だけじゃない、人名もだ。よくわからない、自分の想像の範疇を越えたものがたくさんあるんだなあ、と感慨深い気持ちになる。

 その土地に住んでいる人々は、当たり前のこととして生活しているから不自然に思わないんだろうけど、ちょっと踏み込んで考えてみると「なんじゃこりゃ?」と思う次第だ。僕が住んでいる町にも、町字レベルで見ると読めない地名がたくさんある。でも、このレイヤーだとあまり困る人はいないと思うけど。

 例えば、九州に「小倉」って地名がある。読みは「こくら」だ。恥ずかしい話だが、僕は結構最近まで「おぐら」だと思っていた。だって小倉百人一首小倉優子も小倉あんも小倉唯も「おぐら」じゃないですか。関東に住んでいて、九州の知識がない人は、「おぐら」って読んでしまっても仕方ないんじゃないのかな。すみません、ただの言い訳です。
 北海道の長万部(おしゃまんべ)とか、山口の特牛(こっとい)とか。枚挙にいとまがない。地名が生まれたのにも深い理由があるのだろう。その歴史を紐解いてみても面白いだろうな、きっと思いもよらない理由で名付けられたんだろうな、と思うのだ。

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 アンドレアス・グルスキーというドイツ出身の写真家がいる。スーパーカミオカンデの特徴的な写真など、何だか不思議な写真を撮る。緻密で包括的な写真で、すべての箇所が焦点になる写真。
 僕の好きな写真家の一人でもあるのだけど、ある日、日本のある地名とアンドレアス・グルスキーという名前が変な具合に結合してしまってどうしても頭から離れない。

 アンドレアス・イブスキー

 読めない地名の一つに、鹿児島の指宿って街があるんだけど、誰かに聞いた「指宿は良い所だよー」とアンドレアス・グルスキーが合体してしまったのだ。ただの駄洒落なんだけど、何だか言い回しのリズムが良くて、思いついた時はニヤニヤしてました。それ以来、指宿がとっさに読めない、またはど忘れしたときはアンドレアス・グルスキーを思い出して、そこから「いぶすき」を思い出すって次第であります。

 そのうち誰かと「指宿」に旅行でも行こうか、となった時「アンドレアス・イブスキーはさあ……」なんて言い出してしまわないか、内心ハラハラしております。

 という訳で、指宿は難しい読みの地名です。でも、良い所ですよ、本当に。

 PS. いやあ、アンドレアス・イブスキーって我ながら傑作だと思うんだけどね。