innate8の日記

大海を泳ぐ

戦争学概論

戦争学概論を読了。

近代戦争を分析することで、将来戦争や対立が起こりえた時に活かそう著者は考えているようです。

僕はそれなりに本は読みますが、自分の専門外で戦争について学術的に述べられている本を読んだことがなかったので、読み終えるまでにかなり時間がかかりました。頭にすっと入って来なくて困った…

 

この本を読んで、戦争のイメージが変わりました。戦争は破壊的な行為ではなく、「政治活動に他ならない」であるということです。僕は世界史を学んできましたが、戦争は殺戮と破壊というイメージが強すぎて行なってはいけないものだと認識していました。

しかし、戦争は政治のために行われるものであって二つの大戦のような壊滅的なダメージを与える戦争が間違いであると述べられています。過去の戦争でも、互いに損害を最小限に止め、じわじわと追い詰めていく戦争こそが政治としての戦争であるとしています。

戦争と聞くと破壊を連想してしまいますが、政治の手段と考えるとある程度の軍事力は日本にも必要なのかもしれません。

 

現代に入ってからの、第一次世界大戦・第二次世界大戦後・冷戦も含め冷戦絡みの戦争が資本主義と共産主義の対立という大局によって動いていることが簡潔に述べられています。次にくる戦争は、ゲリラやテロ等の小規模局所的な戦争であるとも述べられています。日本も真剣にテロの脅威に対応すべきだと思いました。そういった意味で、日本にも多少なり軍事力は必要なのでは無いでしょうか。それは攻撃ではなく守りのための力です。今の自衛隊が、今世界で行われている紛争やテロを抑えられるとは正直思えないです。

 

7年前に書かれた本ですが、尖閣諸島の重要性や、中国との国際問題・中国の狙いなどが語られています。いま、尖閣諸島問題が重要視されていますが、この本でもその重要性が述べられていました。

 

述べられていることは一理ありますが、定量的に数値化できる内容ではないので、運や偶然の類にも左右されるだろうと思います。難しい所ではありますが、歴史から学ぶことはとても重要なので、この姿勢は見習っていきたいです。

戦争学概論/黒野耐

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